
越境ECの物流を配送業者・越境代行・3PL・海外在庫の4つで整理。関税を誰が持つかで使える業者が変わる理由と、いま何を選ぶべきかの判断基準を解説します。
海外に売ると決めたあと、まず最初に詰まるポイント——どの手段で送るのか。いくらかかるのか。誰に頼めるのか。
1kgの商品を1個海外に送るとする。日本国内なら、ヤマト運輸の宅急便60サイズで関東発・関東着940円。日本郵便のゆうパックなら東京都内あて820円だ。同じ1kgの商品を日本郵便のEMSで海外へ送ると、台湾あて2,200円、米国あて5,300円になる(各社公式料金表、2026年8月時点)。
送り方は大きく4つ。国際配送業者を使って自社で発送する。越境代行サービスを使う。物流代行(3PL)に委託する。海外倉庫に在庫を置く。
どれを選ぶかは事業の規模だけで決まるわけではない。時間・お金・在庫リスク・顧客情報のうち、いま何を負担できるかで決まる。
四つも方法があると、それぞれの料金や手順を順に調べたくなるだろう。ただその前に押さえておきたい分かれ道が二つある。「注文ごとに都度海外へ発送するか、事前に海外倉庫へ送っておくか」と、「輸入者が購入者か、自社か」。この二つさえつかめば、四つの方法の違いは明確。——費用の積み上がり方と、負う責任の範囲がここで決まる。
四つとも時間もお金もかかる。違うのはどれが重くなるか。負担の大きさを4つの軸で並べると以下の通り。
※ 表は横にスクロールできます。
| 方法 | 海外へ発送するタイミング | 時間(手間) | お金 | 在庫リスク | 顧客情報 | 関税の扱い |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ①国際配送業者に自社で送る(EMS・国際宅急便・DHLなど) | 注文ごと | 多い(書類・梱包・問い合わせ対応) | 少ない | なし | 自社に残る | 配送サービスによってDDP(差出人負担)かDAP・DDU(購入者負担)かが決まる |
| ②越境代行サービス(WorldShopping BIZ・Buyee Connect・ZenLinkなど) | 注文ごと(発送するのは代行サービス事業者) | 少ない | 少ない | なし | 自社に渡らない | 原則として購入者負担 |
| ③物流代行(3PL)に出荷を委託 | 注文ごと(運ぶのは配送業者) | 少ない | 多い(1件あたりの単価) | なし | 自社に残る | ①と同じ。配送契約側で決まる |
| ④海外倉庫に在庫を置く(Amazon FBA・現地3PL) | 事前にまとめて | 少ない | かかる(保管料・現地配送料) | 高い(資金が在庫に固定される) | 自社に残る | 入庫の時点で、現地の輸入者が必要になる |
この表で一つ気をつけたいことがある。この4つは択一ではなく、重ねて使える層だ。3PLに委託しても運ぶのは配送業者のまま、海外倉庫を使う場合も、日本から在庫を送り込む区間は別に手配する。本当に構造が違うのは②のみで、海外のお客さまの取引相手が代行サービス事業者に入れ替わる——その注文は販売者側にとっては国内販売の扱いになる。
一つめの分かれ道をもう少しかみ砕く。注文が入るたびに日本から海外へ都度発送するのか、商品を事前に輸出して海外倉庫に保管し、注文を受けたら現地倉庫から直接発送するのか。違うのは、在庫が日本にあるか売る国にあるかのみ。
そして、その違いがいちばんはっきり出るのが通関を何回通るかになる。
※ 表は横にスクロールできます。
| ストア側の対応 | 通関の回数 | 配送国側の対応 | ||
|---|---|---|---|---|
| 方法A | 注文ごとに都度発送(①②③) | 出品 → 注文 → 梱包・書類(インボイス) → 発送 | 注文1件ごとに1回 | 現地配送 → 受取 |
| 方法B | 事前に海外倉庫へ(④) | 出品 → 在庫をまとめて輸送 | 在庫を送るときに1回 | 海外倉庫に保管 → 注文 → 現地配送 → 受取 |
(ジェトロ「越境EC基礎知識~海外Amazon販売~」をもとに作成)
通関の回数が違えば、国際送料の加算方法も変わる。方法Aでは、国際送料は注文1件ごとに発生する。発送する量が増えれば割引は適用されるが、効くのは料金の率であって、「1件ごとに発生する」という構造そのものは変わらない。方法Bは、商品を一気に出荷するため国際送料の発生は1回ですむ——代わりに、置いている間の保管料と、売れなかったときに引き上げる/処分する費用リスクを抱える。どちらを選んでも払うものがなくなるわけではなく、どこで払うかが変わるだけだ。
もう一つ、この動線には公表される日数に入っていない区間がある。日本郵便が出す標準日数(東京都発1,000g・ニューヨーク州あてでEMS 11日)に、通関の日数は含まれていない。国内出荷の感覚でリードタイムを約束するとずれてしまう。
もう一つの分かれ道は、誰が輸入者(IOR)になるかだ。一見、名義だけの区分に見える。だが、相手国の法規制を守る義務が自社と購入者のどちらにあるかは、ここで決まる。
郵便で送る場合、輸入者は便宜的に購入者となり、個人輸入として扱われることが多い——現地の規制は、原則として購入者側の話になる。自社が輸入者になった瞬間、通関申告・関税の支払い・現地規制への対応は自社の責任に変わる(米国に食品を入れるなら、FDA対応も輸入者の仕事だ)。分かりやすいのが台湾で、直送モデルなら台湾の輸入規制は適用されないが、現地倉庫に在庫を置くと一般貿易と同じ輸入通関になり、商品標示法などの現地規制がかかる。台湾での現地化の詳細は台湾進出のEC現地化ガイドをご覧いただきたい。
つまり規制対応の重さは、商品や国だけでなく送り方で決まる部分が大きい。そしてそれは、送り方を選んだ時点でほぼ決まっているのだ。
全体像がつかめたら次は自社の話だ。「出荷件数が増えたら次の段階へ」という説明をよく見るが、4つの方法が実際に要求してくるのは件数ではなく、時間・お金・在庫リスク・顧客情報——冒頭の表と同じ、こちらが負担する4つの軸だ。
4つの中でいちばん時間がかかるのが、自社で配送業者に送る方法だ。時間を取られるのは、荷物が動かなくなったときである。日本郵便に荷物の行方を調べてもらう手続き(調査請求)は電話では受け付けておらず、調査用紙を郵便局の窓口に提出する必要がある。回答まで1か月以上かかることもある。日本国内なら追跡番号を見て当日中に答えられる「荷物どこですか」が、海外発送では書面を出して1か月待つ話になる。
残る3つは、それぞれ別のものを負担することになる。お金がいちばん重いのが物流代行(3PL)だ。出荷1件ごとに費用を払い、その分の作業時間を買い戻す。在庫リスクを負うのが海外倉庫だ。資金を在庫に変えて現地に置くため、売れるまで資金を動かせない。売れなければ、引き上げにも処分にも費用がかかる。顧客情報が手に入らないのが越境代行サービスだ。購入代行という形をとるため、海外顧客の氏名や住所は自社に渡らない。
自社に問うべきなのは、この4つだ。出荷作業に週何時間割けるのか。出荷1件ごとの費用を払い続けられるのか。在庫に何か月分の現金を置いたままにできるのか。海外の顧客と直接やり取りする必要があるのか。
その答えが、そのまま最初に選ぶべき方法を指す。
ウルロジは月1件から受け付けており、初期費用も固定費もかからない従量課金制だ。ロジグロも越境EC物流を1SKU・1点から利用できる(各社公式・2026年8月時点)。
ただし件数が無関係という意味ではない。システム利用料を受注件数の階段で設計している業者もあり、固定費ゼロの業者とどちらが安いかは件数で入れ替わる。件数は入場券ではなく、料金を決める変数になる。
方法を確定する前に、もう一つだけ先に決めておきたいことがある。関税を自社が負担するのか(DDP)、海外の購入者に負担してもらうのか(DDU。現行のインコタームズではDAPと呼ぶ)だ。
これは出荷のたびに考える話ではない。海外向けの価格を決める段階で、どちらにするかを決めておく必要がある。しかも、「少額だから関税はかからない」という前提も、以前ほど通用しなくなっている。米国では2025年8月に、EUでも2026年7月に少額貨物の免税措置が見直され、従来の免税を前提にした販売設計はできなくなった。
安い商品だから関税は関係ない、とは考えないほうがいい。売る前に、誰が関税を負担するのかまで決めておく。それも越境ECの価格設計の一部である。
購入者に払ってもらう場合、自社は何もしなくていい。代わりに、関税は商品が届く時点で購入者に請求される。購入時の支払いで終わりだと思っていた人が、受け取りの段階で追加の支払いを求められる。そのためジェトロも「購入者に関税が請求されることが明記されていない場合、受取拒否やトラブルにつながる可能性があるため注意」と明記している。
拒否された荷物は、自社に戻ってくる。往路の運賃と、売れたはずの1件も一緒に消える。返送費用の扱いは配送サービスごとに違い、荷送人負担になる約款もある。この道を選ぶなら、「関税はお客さま負担です」と購入ページに書き切ることが最低条件になる。
自社で払う場合、購入者は購入時の一度きりの支払いで受け取れる。ただし、DDPに対応している配送業者は現時点では限られる。関税の元払いを公開しているのはDHL・FedEx・UPS、そして日本郵便のUGXの4つで、ヤマト運輸の国際宅急便と佐川急便の飛脚国際宅配便に、送り主が関税を元払いするオプションは公開されていない(各社公式・2026年8月時点)。元払いの立替手数料の相場は1件3,000円前後、または関税・諸税の2%の高いほうで、実額は各社の最新のサービスガイドで確認する。
米国あての郵便はさらに進んでいて、2026年4月の引受再開以降、差出人が関税を事前に納付していることが差出条件になった。DDPにするかどうかを選ぶ話ではない——済ませていなければ、そもそも引き受けてもらえない。
DDPは、受け取り時に顧客が追加請求を受けないよう自社が先に払う選択。DDUは、そのお金を顧客との関係に転嫁する選択だ。価格表を作る前に決めておかないと、後から選び直す手戻りが大きい。
最後に、いちばんつまずきやすい点をひとつ。カート(ECシステム)に「チェックアウトで関税分を上乗せして請求する」設定があっても、それで荷物が関税元払いで届くわけではない。上乗せはカート側の設定、元払いは配送業者との契約で、この二つは自動ではつながっていない。
カート側だけ有効にしてDDUのまま出荷すれば、顧客は配達時にもう一度請求される。逆に配送だけDDPにすれば、その関税は自社の持ち出しになる。両方をDDP側にそろえて初めて、顧客は購入時に一度払うだけで受け取れる。
この方法で手間がかかるのは、梱包そのものよりも、送る前の書類と送ったあとの問い合わせ対応である。
日本国内の送り状に書くのは、届け先・依頼主・品名・個数などだ。海外発送では、インボイスに記載する項目が増える。品名も「生活用品」のようなあいまいな書き方は認められない。市販品なら、メーカー・商品名・型番などを具体的に記載する必要があり、原産国もブランドの所在国ではなく、実際に製造された国を書く。ヤマト運輸の記載例では、clothes ではなく T-Shirt cotton とする。
送る前に終えておかなければならない手続きもある。国際郵便では、物品を送る場合の通関電子データの事前送信が義務付けられており、手書きのラベルでは発送できない。内容品の合計価格が20万円を超える場合は、原則として税関への輸出申告も必要になる。
そして荷物が国を出たあとも、「荷物はどこですか」という問い合わせへの対応は、自社の仕事として残る。海外発送では、配送そのものだけでなく、書類の作成や通関対応、トラブル時の問い合わせまで含めて運用を考える必要がある。
2025〜2026年にかけて、旧情報のまま手配すると出荷が成立しない変更が続いた。小形包装物の書留扱いは2025年12月31日で終了し、記録が必要なら国際エアパケット(2026年6月に「国際eパケットライト」から改称)に移る。SAL便は全240の国・地域で差出不可のまま料金表だけがサイトに残っており、料金だけを見ると選べるように読めてしまう。米国あては、前章のとおり差出条件そのものが変わった。
この負担は、出荷しようとしたその日に窓口で受け付けてもらえない、という形で出る。日本郵便を使うなら、条件は毎回公式ページで確認する前提で組んだほうがいい。
国際宅配便の請求重量は、実重量と容積重量——「縦×横×高さ(cm)÷5,000」——を比べて、重いほうで決まる。箱を一回り大きく取れば、請求重量はそれだけ増える。ネットでよく見る「÷6,000」は航空混載貨物の除数で、これで見積もると実際より軽く出る。例外はEMSで、料金は重量区分だけで決まる。
実額の量級はこうだ(いずれも2026年8月時点の公開料金)。
※ 表は横にスクロールできます。
| 2kg | 5kg | |
|---|---|---|
| EMS 台湾あて(第1地帯) | 3,400円 | 6,400円 |
| EMS 米国あて(第4地帯) | 7,900円 | 15,100円 |
| DHL Express Worldwide 台湾あて(区分1・定価) | 16,790円 | 26,320円 |
| DHL Express Worldwide 米国あて(区分5・定価) | 24,860円 | 51,500円 |
ただし国際宅配便の公開額は定価で、実際の請求は契約料金で立ち、運賃に対する%の燃油サーチャージが別に乗る。この表のEMSとの差額を、そのまま乗り換えの代金と見ないほうがいい。
EMSの割引は、同時に10個以上送れば10%。月間・年間の実績で率が上がり、上限は26%だ(2026年8月時点)。「大口専用」ではなく、中小でも達成できる条件だ。
ただし効くのは料金の率であって、注文ごとに国際送料が発生する構造そのものではない。件数が増えるほど、割引よりもこの構造のほうが効いてくる——それが、次の3PLや海外倉庫を検討する入り口になる。
始めるのは、4つの中でいちばん手軽だ。ただしこの方法の代償は、費用の欄には出てこない。
越境代行サービスの多くは購入代行という形をとる。海外の消費者が自社サイトで「買う」を押すと、代行事業者がその人に代わって通常の顧客として注文し、日本国内の指定拠点で商品を受け取り、そこから海外へ発送する。WorldShopping BIZの場合、自社の受注データに残る注文者名は「株式会社ジグザグ」、発送先は千葉県または埼玉県の物流拠点になる。
インボイスの作成も国際配送の手配も代行事業者側で行われ、自社の作業は指定の国内倉庫へ発送するところで終わる。申込から利用開始までは最短5〜10営業日程度。関税は原則として海外の購入者負担だ。
主要3社は、費用を誰がどの形で払うかが三者三様に分かれている(2026年8月時点の各社公開情報)。
※ 表は横にスクロールできます。
| 事業者の負担 | 海外の購入者の負担 | |
|---|---|---|
| WorldShopping BIZ | 初期33,000円+月額5,500円(税込)、売上手数料なし | 購入代行手数料=商品代金+国内送料の10%、海外配送手数料500円、送料(+関税) |
| Buyee Connect | 初期0円・月額0円 | 購入サポート手数料 一律500円/オーダー、送料(+関税) |
| ZenLink | 初期0円・月額0円、毎月の売上の10% | 購入代行手数料 一律300円、送料(+関税) |
量が出るなら固定費制が効き、まず試すだけなら事業者負担ゼロが軽い。ただし、事業者の月額が安いことと、海外の購入者が見る総額が安いことは別である——購入者側の手数料を最も小さくできる会社は、その分を事業者側の成約手数料で回収している。
顧客情報は自社には渡らない。店舗側に戻ってくるのは、個人情報にあたらない範囲の属性情報や購買データで、氏名・住所・メールアドレスなどは含まれない。そのため、リピーターに直接お礼を伝えるといった顧客との直接的なコミュニケーションは難しくなる。
また、海外市場向けに国内とは異なる価格を設定することもできない。3社とも、海外向けに国内とは別の価格を設定する仕組みはなく、国内向けに設定した価格がそのまま海外の顧客にも適用される。
さらに、輸出免税も利用できない。購入代行型のサービスでは、注文上の買主が日本国内のサービス事業者となるため、その売上は消費税込みの国内販売として扱われる。実際に海外へ商品を輸出するのは自社ではないためだ(消費税法基本通達7-2-2)。
それでも、商品の扱いに関する最終的な判断は自社に残る。たとえば初期不良が発生した場合、修理にするのか交換にするのか、また無償対応にするのか有償対応にするのかを決めるのはショップ側だ。顧客対応の窓口をサービス事業者に任せることはできるが、最終的な判断まで手放すわけではない。
出荷1件ごとに単価を払い、その分の時間を買い戻す方法だ。難所は選ぶところにある——各社の見積もりが並べて比べられないのは、金額が違うからではなく、何を分母に数えているかが違うからである。
3PLが引き受けるのは、入庫、保管、ピッキング、梱包、出荷書類の作成、そして配送業者への引き渡しまで。運ぶのは配送業者のままだ。どの国際キャリアと連携しているかは委託先ごとに違い、いま自社が使っているキャリアと同じとは限らない。
料金設計は二つの型に分かれる。一つは、初期費用も月額固定費も0円で実績分だけを払う完全従量課金——STOCKCREWのEC発送代行は1点260円から(税別・2026年8月時点)で、ロジモプロも同じ型だ。もう一つは、はぴロジのように月額のシステム利用料を受注件数の階段で組む型で、固定費ゼロの業者とどちらが安いかは件数で入れ替わる。
もう一点、表示されている単価は1注文1点が前提の下限値で、2点目以降には点あたりの追加単価がかかる。1注文あたり平均2〜3点の店では、表示単価と実費が構造的にずれる。
同じ「保管料」でも、商品1個×1日で数える会社と、体積×月で数える会社がある。分母が違うと、同じ商品でも有利な会社が入れ替わる——かさばって軽い商品は個建てが有利になり、実体積の小さい薄型商品は、三辺合計でサイズ区分が一つ飛ぶだけで体積建てのほうが安くなる、という具合だ。
だから見るべきなのは、どの業者が安いかではなく、自社の商品がどちらの型で不利になるか。体積をどう測るか(商品の実寸か梱包後か)は公開料金ページに書かれていないことが多く、見積時に確認する項目になる。
公開料金で埋まるのは、運賃と一部の手数料までだ。STOCKCREWの「海外発送手数料 300円/件」のように金額つきで公開されている例は少数で、「輸出書類作成料」「通関手配料」という名前の項目は公開料金表に立っていない——1件あたりの手数料に内包されているか、そもそも見積制かのどちらかだ。やる、とは書いてある。いくら、とは書いていない。委託を決める前に、見積書で確認する。
出荷の委託先としてよく名前が挙がるのがAmazonのFBAだ。日本国内の在庫から海外へ発送する仕組みは実際にあるが、使える範囲が限られる。
FBA海外配送プログラムは、日本国内のFBA在庫を使い、「Amazon.co.jp」に入った注文をAmazonが海外の顧客へ発送する仕組みだ。出品者に追加料金はなく、海外配送料と輸入手数料デポジット(関税)は購入者が決済する。
一方、自社ECや他モールの注文をFBA在庫から出荷するマルチチャネルサービス(MCF)は、日本では国内向け配送に適用される料金体系として案内されている。つまり、日本のFBA在庫を自社ECの海外注文に使う経路は、公式には用意されていない。FBAは「Amazonで売る」ための倉庫であって、自社ECの海外出荷を引き受ける3PLの代わりにはならない。
海外倉庫に在庫を置くと、現地の顧客には速く届く。その速さは、在庫を先に現地へ送っておくことで買っている。
出ていく費用は、使えば減るだけだが、在庫に変えた資金は商品が売れるまで戻ってこない。さらに、売れなかった場合は、在庫の返送や廃棄にも費用がかかる。
たとえばAmazonの米国フルフィルメントセンターでは、返送・廃棄は「Removal Order」として1点ごとに手数料が発生する。公式の計算例では、22ポンドのダンベル1点で27.04ドル。
日本に戻す場合は、今度は「輸入」となり、再輸入免税を利用するにも輸出時の許可書などが必要になる。
海外へ送るのは伝票1枚でも、売れ残って戻すときは輸入手続きが必要になる。
在庫を海外倉庫に入れる区間を、モール側が運んでくれるとは限らない。Amazon Global Logisticsは中国・ベトナムを出発地とする越境物流サービスで、日本発は対象外だ。海外のFCに在庫を送るなら、その国際輸送は自社で手配することになる。
輸入者(IOR)も別立ての宿題になる。ジェトロは海外倉庫経由モデルについて「IORはサードパーティ(輸送業者、輸入代行業者等)に依頼が必要」「※Amazon は IOR にはなれない」と明記している。この役割を誰かが引き受けなければ、在庫は入らない。
では実際に誰が引き受けるのか。台湾を例にとると、答えははっきりしている。台湾の関税法第6条は関税の納税義務者を「収貨人・提貨単または貨物の所持人」と定め、輸出入業者として登記できるのは出進口廠商登記弁法第2条により台湾で登記された会社または商号に限られる。つまり台湾に法人を持たない日本企業は、自社の名義で一般の輸入通関を行えない。現地法人(支店・子会社)を立てるか、台湾の輸入業者・代理店、あるいはIORを引き受ける現地3PLに依頼するかの二択になる。
その主体は、輸入だけの話では終わらない。加値型及非加値型営業税法は台湾域内で貨物を販売する営業人に営業税を課し、第28条で営業開始前の税籍登記を義務づけている。在庫を現地に置いて現地の消費者に売る以上、輸入者と販売者をどちらも現地側の主体が担うことになる。国が変わっても構図は同じで、「在庫を置く」と決めた時点で、この現地側の主体をどう用意するかが先に片づいていなければならない。
ここまでは、自社が何を負担できるかで決まる、という話をしてきた。ただし相手国の制度は、こちらの体制と関係なく、選択肢のほうを先に消してくる。米国あての郵便は関税の事前納付が差出条件になり、EUでは少額免税が撤廃され、免税枠の金額も判定のしかたも国ごとに違う。だから、方法を決める前に絞るべきなのは国のほうだ。最初の1〜2か国に絞れば、料金も日数も関税も、一つの条件表で読めるようになる。
※ 表は横にスクロールできます。
| いま負担できるのは | 販売国数 | 社内体制 | 起点になる方法 |
|---|---|---|---|
| 時間(手は動かせるが、現金は動かせない) | まず1〜2か国 | 出荷担当が自社にいる | ①国際配送業者に自社で送る |
| 顧客情報が手に入らないこと(人も現金も薄い) | 国を絞らず反応を見たい | 出荷を増やす余力がない | ②越境代行サービス |
| お金(時間は出せないが、1件ごとの単価は払える) | 複数国 | 国内出荷はすでに回っている | ③物流代行(3PL) |
| 在庫リスク(資金を在庫に変えて現地に置ける) | 主力が1〜2か国に固まっている | 現地の輸入者を立てられる | ④海外倉庫に在庫を置く |
配送業者が答えられるのは、運送とDDPの操作と費率まで。DDPにするかどうかは商業判断で、業者が代わりに決めるものではない。制度そのものはジェトロの貿易投資相談が無料で答えている(貿易手続きの請負・代行と経営判断は対象外)。
物流代行(3PL)に聞くべきことは、前章の三つ——保管料の分母、1件あたりの単価に何が束ねられているか、海外発送の加算が別立てか——に加えて、二つ。輸入者(IOR)を引き受けるのか、引き受けないなら誰に依頼するのか。そして、対応国に自社の売る国が入っているか。
次の方法に移る時期は、件数ではなく、どこが詰まっているかで測る。受注の締め時間に間に合わない日が続く。出荷作業が定時後にずれ込むのが常態になる。出荷手順が担当者の頭の中にしかなく、代わってもらえない。どれも、出荷が個人の余力で持っている状態を示している。
放置した先に出るのが、誤出荷である。国土交通省の委託調査報告書は、出荷・検品・発送の誤りについて「最初の出荷コスト、返送コスト、再配送コストと配送コスト3倍となる」と指摘する。海外発送では、この3倍が国際運賃で起きる。販売国が3か国を超えて、国ごとの条件表を追い切れなくなったときも、同じサインとして読んでいい。
決め手は、規模がどのラインに達したかではない。時間・お金・在庫リスク・顧客情報のうち、いま自社がいちばん負担できるものは何かだ。それが決まったら、販売国数と社内体制を足した前章の早見表で、起点になる方法を一つ選ぶ。
その前に決まることが二つある。一つは、関税を誰が払うか。カートの関税徴収設定と配送のDDPは別々に決まるので、両方をそろえる。片方だけだと、顧客は玄関でもう一度請求される。
もう一つは、最初の国。EMSの料金は地帯で決まり、免税枠も少額貨物の扱いも国ごとに違う。国を一つに絞れば、料金も日数も一つの条件表で読めるようになる。
海外販売そのものの全体像は、越境ECとは?日本企業の始め方・完全ガイドで扱っている。
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海外の顧客に商品を届けるための、保管から通関・国際輸送・現地配送までの一連の仕組みを指す。国内のEC物流との違いは3つ。通関書類が必要になること、相手国で関税や輸入税が発生すること、誰が輸入者(IOR)になるかを決める必要があること。組み方は、国際配送業者に自社で送る/越境代行サービス/物流代行(3PL)/海外倉庫に在庫を置く、の4つに整理できる。
注文ごとに日本から送る方法と、あらかじめ海外倉庫にまとめて送っておく方法に分かれる。日本から送る主な手段は、日本郵便のEMS・国際エアパケット・国際小包・UGX、ヤマト運輸の国際宅急便、佐川急便の飛脚国際宅配便、DHL・FedEx・UPSなど。東京発1kg・ニューヨーク州あてでEMSが5,300円・標準11日、船便の小形包装物が1,300円・2〜3ヵ月と幅が大きい(2026年8月時点)。標準日数に通関の日数は含まれない。
DDPは売り手が輸入通関と輸入関税まで負う条件、DDU(現行の規則ではDAP)は買い手が負う条件。DDUという規則名はインコタームズ2010の改訂で削除され現行の2020には存在しないが、実務では今も通称として使われる。決めるタイミングは出荷時ではなく、海外向けの価格を出す時点だ。関税が請求されることを事前に伝えていないと受取拒否につながる、とジェトロは注意を促している。
DHL・FedEx・UPSと、日本郵便のUGXが対応している。手数料はDHLが運送状1枚3,300円または関税・諸税の2%の高いほう、UPSが2,900円(2026年の各社サービスガイド)。ヤマト運輸の国際宅急便と佐川急便の飛脚国際宅配便は、公式には荷受人負担のみが案内されている。なお米国あての郵便物は、2026年4月14日以降そもそも差出人による関税の事前納付が差出条件になっている。
FBA海外配送プログラムを使えば、日本国内のFBA在庫から世界中の顧客へ発送できる。出品者に追加料金は請求されず、購入者が海外配送料・輸入手数料デポジット(関税)を決済する。ただし対象は「Amazon.co.jp」に入った注文で、自社ECサイトの海外注文には使えない。自社ECや他モールの注文をFBA在庫から出すマルチチャネルサービス(MCF)も、日本の公式案内では国内向け配送に適用される料金体系とされている。
保管・ピッキング・梱包・出荷書類の作成・発送手続きを代わりに行うサービスで、運ぶのは配送業者、代行会社が引き受けるのはその手前になる。料金設計は、初期費用・月額固定費が無料の完全従量課金と、月額のシステム利用料を受注件数の階段で組む型の二つ。1件あたりの費用は国内向けと越境で立て方が変わり、STOCKCREWの公開料金なら国内のEC発送代行は1点260円から、海外発送はこれとは別建てで国際運賃の実費に海外発送手数料300円/件が乗る(税別・2026年8月時点)。
ライブコマースが注目されるのは、主に以下のような理由からです。ライブコマースが注目されるのは、主に以下のような理由からです。ライブコマースが注目されるのは、主に以下のような理由からです。
視聴者と配信者でコミュニケーションが取れる
インフルエンサーを活用したマーケティングができる
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